歯とストレスと禁煙

Wさんの例:ストレスが多い仕事をしていると、歯の根元のエナメル質が崩壊したり、臼歯が破折したりします。 ストレスをやわらげるため喫煙も仕方ないと思ってしまうものです。 しかし、ある歯科医院の待合室に掲示されている「歯周病とたばこ」のポスターを見て、これはもう止めなくてはいけないと思い、ついに禁煙されました。 2年半後、歯肉がピンク色になってきたと喜ばれたそうです。 肺の中はなかなか覗いてみることはできませんが、歯肉だったら、喫煙時と禁煙ごとをご自分で比較することができます。 あなたも、きれいなピンク色の歯肉を取り戻してみませんか。

のど飴による虫歯発症の危険性
喫煙すると、のどがイガイガするために、喫煙の合間にのど飴をなめる人も多いようです。 また、禁煙した人も、口さみしいので、のど飴をたくさんなめるようになります。そうすると、普通は虫歯のできにくい場所と考えられている下顎の前歯などに、虫歯が発生します。

喫煙と歯周疾患

喫煙は歯周疾患、いわゆる歯槽膿漏の最大のリスクファクターといわれています。 煙の熱などの物理的な刺激と、ニコチンや一酸化炭素やタールなどの有害物質の化学的な刺激により、歯肉への血流の不足や歯肉組織の線維化が起こり、 歯周疾患の発症を見えにくくしたり、治療を妨害したりしているのです。
歯周疾患の進行を抑制するのに、もっとも効果的な方法は長時間ブラッシングです。 しかし、いくら一生懸命にブラッシングを励行しても、禁煙しないと効果は激減してしまいます。
米国では、成人の歯周病患者の過半数はたばこが関係していると推定されています。 米疾病対策センター(CDC)のスコット・トマー博士は、18歳以上で自分の歯がある約1万2千人を対象に調査した結果、 このうち歯周病になっていた9.2%の人たちと喫煙の関係を分析しました。 その結果、調査時に吸っていた人は、吸ったことがない人に比べて約4倍、歯周病になりやすいことがわかりました。 1日に吸う本数が多い人ほどその傾向が高まり、31本以上の人は6倍ほどに高まっていました。